見えない悩みに耳を澄ませた 10【ロミロミ体験記vol.35】
アロハ、ワイレレです🌈
沖縄旅行に行った時、亀に会いたくてシュノーケルをしました。
沢山亀がいると聞いていた綺麗なブルーの海に入って、ワクワクしながら2時間ほど探しまくって、やっと見つけたのはとーーっても大きな亀でした。
「うわぁ~~~」
少しの間一緒に泳いで、バイバイした後、
一緒に行った友達は、まだ亀に会えるかもしれないと言って違う場所に探しに行ったけれど、私は疲れたので陸で待っている事にしました。
1匹しか会えなかったけど可愛かったなぁってニンマリしながらベンチで休んでいた時、知らないおじさんが「こんにちは」と話しかけてきました。
「亀には会えた?」
「はい、1匹大きいのに会いましたよ」
「え?1匹だけ?普通は4-5匹、多い人だと8匹くらい会える人もいるのに、日頃の行いが悪いんじゃない?」
むむ…1匹だと、日頃の行いが悪いの?(ー”ー)
嫌な奴…。
そんな事言われたのが悔しくて、もう一度シュノーケルを持って海に探しに行ったけれど、亀には会えませんでした。
とぼとぼして、「やっぱり日頃の行いが悪いのか」と思いながら陸に上がったら、浅い所で遊んでいた女子2人が、今そこに亀いるよ!って教えてくれました。
急いで行ってみたら、小さな亀が海藻をハムハムして、息継ぎのプハをして、ハムハムして、プハして…。
あぁ、なんて可愛いんだろう。
なんて、幸せな時間だろう。
そう感じた瞬間に、日頃の行いが悪いなんて、そんなしょうもない言葉に腹が立った事自体が馬鹿らしくなりました。
あれ?さっきまで腹が立っていたのに、今は馬鹿らしい?
大切な何かに「気付く」と、今までの意見や気持ちが、正反対になる事があります。
そうなると、自分から出てくる言葉が、次の行動が、変わっていく。
さぁ、
今日は、何に「気付く」んでしょう?
明日は、何に「気付く」んでしょう?
これから、自分のどんなところが変わっていくんでしょう?
…自分の不甲斐なさに肩を落として、暇があれば自分を刺して、
少しでも前を向こうとしたら、全力で阻止しようと自分で自分の足を引っ張る。
そうやって自分の気を自分で削いでいた。
知らない間に、なんて世界を作っていたんだろう。
”気付く” というのは、不思議だ。
今まで何をしても変わらなかったのに、気付いた瞬間に、自分が変わる。
自分と向き合う、自分を見つめる。
これは、私みたいに自分の悪い所にばかり焦点をあてて向き合う、という事じゃない。
この穴に入り込むと、穴からどうやって抜け出したらいいのかわからなくなって、どんどん自分の嫌な所が見えてくる。自分の無力さを責めだして、止まらなくなってしまう。
自分と向き合う、自分を見つめる。
これは、他人のせいにする事でもない。
「なんでいつも邪魔ばっかりされるのか」
「何でこいつ、こんな事もわからんねん」
そうやっていつも、
親のせい、夫のせい、子どものせい、上司のせい、部下のせい、友達のせい…。だから自分は幸せじゃない。やりたい事ができない。何かが足りていない?
周りに何を言われても、いつまでも自分が気付かなければ、結局何も変わらない。
毎日ただ忙しく、ただ慌ただしく過ごしていると、自分の感情にさえ気づかない。
何かにぶち当たって、自分が苦しくてしょうがなくなって、どうにかしなきゃと思った時、自分の上に垂れている糸を信じてしっかり握って登っていくと、今まで見えなかった景色が見えることもある。
上から垂れていた糸は、自分を導いてくれる糸だった。
終わってから振り返ると、必ず誰かが自分を導き、サポートしてくれた跡が見えてくる。
京都でのロミロミ練習を終えた後、最後にクムに聞かれた質問がある。
「もう人生とか魂とか、ウザい事言われるの嫌? 嫌なら、もうやめておこうと思って」
これを聞かれた時は、何の事だか、何でこんな質問されたのか?ピンと来なかった。
反応に困って、すぐには何も答えることができなかった。
その後、家に帰ろうと電車に乗った。阪急電車のエンジ色の椅子に座って、窓の外を眺める。
クムの言葉が、ずっと頭の中をクルクル回っていた。
クルクル、クルクル、回って、回って、回って…
「あれ? え?え? なんだ、これ?」
頭の中でクルクル回っていたこの言葉から、確かにそこに乗せられていた沢山の思い、込められた祈りのようなものが、上から降ってくるような、下から湧いて出るような、急に溢れ出してくるのが分かった。
止まる事なく溢れてくるから、こぼすまいと思わず両手ですくおうとする。
両手なんかじゃ到底抱えきれずに、溢れてどんどんこぼれ落ちていく。
溢れていくのが勿体無くて、焦ってこぼさないようするけれど、柔らかくて、温かくて、清らかな水みたいなものは、後から後から湧いてきて、両手から溢れて、こぼれ落ちて…
ただただびっくりして、涙が流れる。
悩んでいる時は、周りなんて全く見えていなかったんだ。
クムが最後にしてくれた質問。
今までの全ての言葉に込められていた思い。
それだけじゃない。
自分に開いた小さな穴から、今まで周りの人がくれた言葉や自分に向けた態度に込められたものも合わさって、堰を切ったかのように流れこんでくる。
膨大な量の励ましや応援を、沢山の人からもらっていた事にやっと気付いて、感謝の気持ちが溢れ出す。
言葉に込もった思い。美しい景色。もらっていた沢山のもの。
それをどうにか逃さないように、大切に、新しい”自分”という箱に入れて蓋をした。
ある朝、目が覚めて、あの時の柔らかい水のをこと思い出していた。
あれは、あの感覚は一体何だったんだろう…。
クムのハワイアンネームが急に頭に浮かんだ。
Kehaulani(ケハウラニ)=天の雫
あぁ、そういう事なのか…?
あれは天の雫だったのかもしれない。
あまりにも私がそれを受け取らないから、雫は少しずつ溜まっていって、水溜りになって、気づかないうちにどんどん大きくなって、最後にやっと開いた小さい穴からどっと流れこんできたんだ。
ロミロミを始めて、ハワイアンネームを授かった。
ワイレレ=滝。 水が元気に跳ねている。パワフルで、愛に溢れて、沢山のマナを人に届ける。
なんて壮大なものがこもった名前を貰ってしまったんだろうってずっと思っていたけれど、ロミロミを通じてこんな風に人を癒すことが出来たら、自分の人生も捨てたもんじゃないって思えそうだと思った。
進みたい道がどこにあるのか、迷って、周りに霧がかかって、何も見えない。何も聞こえない。
でも、立ち止まってよく見てみたら、
見えないと思い込んでいた数センチ先、時には数メートル先を
誰かが照らしてくれているのがぼんやり見えていたような、
立ち止まって耳を澄ませてよく聞いたら、遠くから誰かの声が微かに聞こえていたような、
そんな不思議な感じがした。
おわり。